椎間板内酵素注入療法は局所麻酔で施行可能な、腰椎椎間板ヘルニアの治療です。
椎間板内に注射するだけなら、研修医でも(?)できる手技ですが、MRI画像診断の進歩によって、椎間板造影、椎間板ブロック、化膿性椎間板炎の穿刺などの手技を行う機会はめっきり減ってます。駆音吾も椎間板ブロックは年1回行うことがあるかどうかの稀な手技となってます。椎間板内酵素注入療法は治療効果を高めるためには椎間板内中央に注入する必要があります。論文での報告でも椎間板中央穿刺が重要と報告されております。
E Okada et al‘The effectiveness of chemonucleolysisi with condoliase for treatment of painful lumbar disc herniation’ Journal of Orthopedics Science
椎間板中央への穿刺にはCアームが有用!
椎間板に穿刺するだけなら、通常の外来での透視室でも可能ですが、斜位で刺入すると正中への穿刺の確認には患者さんに腹臥位に動いてもらわないといけないため、不潔になるリスクと正中に穿刺できない可能性があります。
手術で用いる、専用のCアームなら患者さんは腹臥位のままで動いてもら必要がなく、Cアームを動かすことで、正面、側面で椎間板中央に穿刺できていることが確認できます。安全で穿刺時間も短縮できるので有用なほうほうです。(正面、側面の2面透視ができる、血管造影室も有用です。)
実際の手技
実際の手技としては、正面像でCアームを椎間板と平行になるよう椎体終板が一直性になるよう傾けます。(L5/Sだと頭側へCアームを傾けることになります。)正中から7cm程度(握りこぶし1個分)の位置から十分に奥まで局所麻酔を施行します。
40°程度傾けながら、椎体側面まで進め、椎間板に穿刺をしていきます。その際に骨性の抵抗があるときは斜位像で上関節突起の内側に向かっていることが多いので、少し引き抜いて傾きを緩めて、椎間板を穿刺します。プッチと椎間板を穿刺できた感触があったら、1cm程度押し進めて、透視側面像で椎間板中央まで進めます。
正面像でも椎間板中央を確認したら椎間板内中央にコンドリアーゼをゆっくり注入します。アレルギー反応など副作用のないことを確認して、終了します。