骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)の予後不良因子を見逃さない!!

OVF 骨粗鬆症
OVF

 加齢によって生じる疾患の代表として骨粗鬆症があります。骨粗鬆症とは骨の量(骨量)が減って、骨質の低下と相まって骨が弱くなり、ちょっとした外傷、転倒やしりもちなどによって骨折しやすくなる病気です。日本では約1000万人以上の患者さんがいるといわれております。

骨粗鬆症によって、骨折しやすい部位として、脊椎(背骨)、大腿骨近位部(足の付け根)、上腕骨近位(肩)、橈骨遠位端(手関節)などがあげられます。

 この中でも、大腿骨近位部骨折、脊椎椎体骨折は寝たきりになる危険性も高く特に注意が必要な骨折です。

 骨粗鬆症性椎体骨折(OVF)は尻もちなどの軽微な外傷や、誘引なく骨折することも約1/3は生じると報告されております。いつのまにか骨折とも言われます。

OVFの治療方針としては保存療法が第一となりますが、10-20%程度の患者さんは骨折部が癒合しない、遷延癒合、偽関節などを生じて腰痛や遅発性麻痺の可能性があります。また椎体の圧潰が高度となると後弯変形による腰痛や逆流性食道炎(GERD)などを生じてADL障害を生じてしまいます。

予後不良因子を見逃さない!

OVF予後不良因子

Characteristic radiographic or magnetic resonance images of fresh osteoporotic vertebral fractures predicting potential risk for nonunion: a prospective multicenter study

Tadao Tsujio et al:Spine  2011 Jul 1;36(15):1229-35.

大阪市立大学のグループでの研究です。MRIでT2画像で骨折椎体全体がlow intensity(真っ黒)に輝度変化を呈する椎体骨折や椎体内にhigh intensity(白っぽく)が限局している椎体骨折は偽関節や圧潰、遅発性麻痺が生じる危険性が高い椎体骨折と報告してます。これらの椎体骨折に関しては十分に注意して保存療法を行う必要があります。症状、経過を診て、保存療法から手術療法に切り替えれる準備をしておく必要があります。患者さんにも十分な説明が必要です。

強直性脊椎骨増殖症(DISH)を見逃さない!!

DISHの椎体骨折

骨粗鬆症性椎体骨折とは病態が異なるのですが、一見するとOVFと誤診してしまう疾患が強直性脊椎骨増殖症(DISH:diffuse idiopathic skeletal hyperostosis)による椎体骨折です。

DISHとは脊椎の前方の靭帯である前縦靭帯が骨化し、椎間板を挟んで、上下の椎体が前縦靭帯で癒合し椎間の動きがなくなってしまう疾患です。中高年になって徐々に骨化していくことが多いですが、現在も原因がわかってません。(類似する疾患として強直性脊椎炎があります。)

DISHでは椎体間の可動性がないため、骨折を生じた場合は骨折部がテコの様に動くことで、不安定性が強く、痛みもつよいです。骨折部の癒合は得られにくく、通常は手術が必要となります。

OVFと誤診してしまい、いたずらに保存療法を行うと麻痺が生じてしまい緊急で手術が必要なことがあります。麻痺の発生率は30%程度ともいわれております。CT検査を行うと診断は容易ですが、レントゲン画像ではOVFと誤診してしまうことがあるので注意が必要です。

DISHの椎体骨折は手術術式がOVFと異なり、不安定性が強いため、上下3椎間での固定が通常必要と言われてます。

DISH

まとめ

OVFの予後不良因子はMRIでのT2画像で見逃さないようにしましょう。またOVFと誤診しやすいDISHにも注意が必要です。

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